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「根管治療は成功率が5割」と言われていますが、どこの歯医者に行っても同じ……ではなく、歯医者さんの技術や歯科医院の器具・設備の充実度により、その確率は左右されます。
そうであるならば、安心して治療を頼める先生、いわゆる「名医」の治療を受けたい、と考えるのは当然ですが、実際には「根管治療の名医」を見分ける、見つけるのは簡単ではありません。
なぜなら、根管治療自体は保険適用の治療であるため、保険診療を行っている歯科医院ならどこでも行われている治療だからです。
ですから、矯正歯科などとは異なり、「根管治療専門医」と謳っている歯科医院は非常に少ないのが現状です。
(ちなみに、正式名称としては「根管治療専門医」という資格は存在しませんが、それと同等の資格は存在します。詳しくは本記事の後半で説明します。)
歯の根の治療、根管治療は再発のリスクが高い治療なので、歯科医院選び、歯科医師選びが重要となります。
特に、一度抜髄(歯の神経を取る)した歯に痛みがあったり、膿んだりしている場合は、より慎重に選んだほうが良いでしょう。
ここでは、歯科医院の選びのヒントをご紹介します。
あなたにとっての「根管治療の名医」が見つかるとよいですね。
根管治療の名医、歯の根の治療が得意な歯科医院を見極めるヒント
ヒント①マイクロスコープを使用している
マイクロスコープは肉眼の20倍の拡大画像を見ながら治療できる顕微鏡です。特に抜髄の際に、細い根管の入り口を見逃さないために、とても重要な役割を果たします。
根管の入り口は非常に小さく、また、人によって根管の本数が異なるため、肉眼のみでは治療すべき根管を見落としてしまい、その結果として再治療となる危険性あります。
しかし、マイクロスコープを使うことで、このようなリスクが軽減されるとともに、その他の細かい作業の精度も上がるため、治療の質が格段に上がります。
ヒント②ラバーダムを使用している
「ラバーダム」は、唾液などに含まれる細菌をブロックするためのゴムの膜です。
患部の歯だけを露出させるため、その部分が唾液に触れないように治療を行うことが可能となり、細菌の侵入を防ぐ効果が期待できます。
根管治療においては、「歯の中を無菌化する」ことが非常に大切であるため、根管治療の成功を左右する重要な器具です。
日本国内では保険点数の兼ね合いで、ラバーダムを使用すると歯科医院が赤字になるため、保険診療で使用されることは非常に少なく、主に自費診療の治療で使用されています。
ヒント③CTスキャン
歯の根元に膿ができてしまった場合は、CTスキャンで確認します。
神経の形は人によって様々で、非常に複雑な形をしています。
また、レントゲンでは映らない細部まで確認することが可能です。
特に再治療となった場合に必要となる「感染根管処置」では、CTスキャンを用いた診断が重要となるケースが多くあります。
ヒント④自費診療で治療をしている
日本の保険診療の範囲では、精度の高い根管治療を受けることは残念ながら難しいのが現状です。
自費診療だから絶対に成功する、とは言い切れませんが、根管治療に掛けられる時間と費用が十分にあるので、自費診療で治療を受けたほうが、より質が高く精度が高い治療が期待できます。
ヒントの①~③であげた器具・装置も自費診療での治療が一般的です。
ヒント⑤治療実績・専門医
根管治療は難易度の高い治療と言われているので、できるだけ経験豊富な先生に依頼することをおすすめします。
記事の冒頭にも書いた通り、「根管治療専門医」という資格は存在しないのですが、「日本歯内療法学会 専門医(指導医)」が、実質的には「根管治療の専門医」ということになります。
※「歯内療法」は、主に歯科医師が使う用語ですが、「歯の内部の治療」つまり歯の根の治療(=根管治療)を意味します。
歯科医院のホームページでは、歯科医師のプロフィールに所属学会や資格を記載していることが多いので、その中に「歯内療法」という言葉が入っているかどうかをチェックすると良いでしょう。
通院できる範囲に根管治療を得意とする歯科医院、専門医、名医がない場合は、セカンドオピニオンで他の医院で相談することも可能です。
根管治療は歯の寿命を左右する治療なので納得できる歯科医院で治療することが大切です。
根管治療が得意な歯科医院を見極める まとめ
根管治療は、最初の抜髄の時が肝心です。
ここでしっかりとした処置を行っている歯科医院で治療を受けることができれば、再発のリスクを抑えることができます。
また、再発時にも良い歯科医院を選ぶことで抜歯を免れることもできるかもしれません。
上記のポイントをすべて網羅できているからと言って「名医である」と断定できる訳ではありませんが、上記の条件をクリアできている歯科医師は「根管治療に対する意識が高い」と言えるので、名医である確率も高くなります。
手間は掛かりますが、「自分の歯をどうしても残したい」という気持ちがあるのであれば、ご自身が納得いくまで歯医者・歯科医院を調べて、口コミや評判なども参考にしながら通院先を選ぶことをオススメします。